わたしの日刊工業新聞 活用法(104)有限会社藤川樹脂 代表取締役・藤川 勝也 氏
新聞はインフラのひとつ
藤川樹脂は堺市美原区でプラスチック射出成形加工を手がける。メーンは電子機器などの部品の試作だが、近年は培ってきた成形ノウハウを元に製品の開発支援や金型の予知保全パッケージを企画するなど、単純な受託加工からの脱却を図っている。代表取締役の藤川勝也さんに聞いた。
-樹脂成型のノウハウをいかした新規事業にも積極的です。
「新規事業は“マジカルハート”というブランド名で展開している。1つはCADデータから高精度な3Dモデル画像や動画を制作するサービス。大手音響機器メーカーの元プロダクトデザイナーを招き入れ、事業の幅が広がった。樹脂部品の強度は形状や成形で変わる。自社の営業にも用いて本業の受注も増えた。さらに顧客が3Dモデルを営業に活用できるクラウドサービスも開始。活用範囲を広げるため大学などと共同研究も進めており、新規事業の柱に育てたい」
-2つ目は金型の予知保全パッケージです。
「3D技術とセンサー技術を組み合わせた予知保全パッケージで、金型または保管している棚ごとに温度と湿度のセンサーを付け、材質や形状が変化する数値が近づくと、点検を推奨するようにメッセージが届く。量産を終えた金型は次の受注に備え保管されるが、期限もなく、保管料ももらえず増え続ける金型に頭を悩ましている企業も多い。ようやく、取引の際に金型の管理について保管期間の設定や、管理費の実費算定を推奨するようになってきた今こそ、必要なサービス。通信面など課題は残るが、23年秋の展示会にも出品し、手ごたえもあった」
-日刊工業新聞をどのように活用していますか。
「見出しや写真を見て気になった記事を読み、気になった情報は社員と共有するようにしている。また、広告からその製品やサービスが生まれた時代背景や、存在理由が分かるのも面白い。紙面は文字が小さく、読みづらいという人もいるが紙面ビューワーを使うと文字も大きくできて読みやすい」
「新聞はインフラのひとつだと思う。誤字脱字はもちろん、何かに忖度していないか、また、事実に反したことはないかを確認してから掲載しているので、記事一つ一つに”信頼できる情報“という付加価値がある。”信頼できる情報“に対価が発生するのは当然のこと。金型や部品製造も新聞と同様に、価格を上げていく必要がある」
―ありがとうございました。
【略歴】1988年大阪芸術大学卒業後、大阪府立特別支援学校勤務を経て、91年藤川樹脂入社。2011年代表取締役。大阪府出身、58歳(2023年12月現在)
【企業ファイル】
名称 | 有限会社藤川樹脂(ブランド名:マジカルハート) |
代表者 | 藤川 勝也 |
所在地 | 大阪府堺市美原区多治井814 |
URL | https://fujikawa-jushi.co.jp/ |
事業内容 | プラスチック射出成形加工、試作及びそのコンサルティング ブランド名「マジカルハート」ではプロダクトデザイン、グラフィックデザインの企画、開発、保守や、平面・立体図面の作成・修正・販売及びその受託 |
インタビュアー:西日本支社販売局