わたしの日刊工業新聞 活用法(94)アイジーエヴァース株式会社 代表取締役社長・稲垣 徹也 氏
全国の中小企業の動向を参考に
アイジーエヴァースは1960年の創業以来、主に自動車産業で用いられる金型の製造を手がけてきた。既存事業の金型では大手を中心に多くの顧客の信頼を得ているが、産業構造の変化への危機感は強い。近年では新分野への進出を積極的に進めている。さらなる飛躍のために日刊工業新聞をどのように活用しているか、代表取締役社長の稲垣徹也さんに聞いた。
-個性的な社名が目を引きます。
「2020年に旧社名の『稲垣鉄工』から変更した。さまざまな意味を含むが、アイジーは、INAGAKIのIGだ。エヴァースはEVEARTHで、EVOLVE THE EARTH (地球を進化させる)から発想した造語だ。新しい挑戦のために『鉄工』という言葉は領域が限定されると考えていた」
-新たな挑戦の状況はいかがでしょうか。
「かつては鍛造やプレス金型の一本柱だったが、22年10月期には特殊な試作開発部品や電気自動車(EV)・ハイブリッド車関連部品、医療・航空機などの精密部品と言った新分野の売上比率が3割にまで高まった。社内で選抜した『R&Dチーム』が高難度・高精度加工の受注で成果を出しているからだ。我々の受注品は全てが一品ものだ。独自の生産管理システムに3Dデータや自動化、モノのインターネット(IoT)と5軸制御マシニングセンタを駆使した『多品種単品生産』で顧客を開拓していく」
-設備投資も積極的です。
「5軸制御マシニングセンタはパレットチェンジャーを使って、異なるワークの加工を土日に完全自動運転で仕上げている。まれな取り組みと自負しているが、これも最新の技術と設備があってこそ。自動化や複合加工機による工程集約もさらに進めたい。日刊工業新聞の機械・ロボット・航空機面に掲載されている機械や工具、産業用ロボットの情報には常に注目している」
-そのほか注目している記事はありますか。
「機械メーカーだけでなく、ユーザーである加工業者や金型メーカーの動向は非常に気になる。企業の生の声は本当に面白い。特にデジタル変革(DX)や持続可能な開発目標(SDGs)への対応は非常に刺激になる。わが社も5月に新本社工場の稼働を控えている。記事で読んだ全国の中小企業をベンチマークとして参考にしている。生産性だけではなく働きやすさも追求し、会社の『ありたい姿』に近づきたい」
-本日はありがとうございました。
【略歴】1989年日大理工卒。同年稲垣鉄工(現アイジーエヴァース)入社、以後3年間取引先へ出向。1999年取締役、04年専務、17年社長。愛知県出身、57歳(23年2月現在)。
【企業ファイル】
名称 | アイジーエヴァース株式会社 |
代表者 | 稲垣 徹也 |
所在地 | 愛知県刈谷市半城土町生出104-14 |
URL | https://ig-e.co.jp/ |
事業内容 | 自動車部品の金型設計製作(鍛造、板金プレス、フローフォーミング、FB、ダイカスト、樹脂、焼結)、試作開発部品製作、ハイブリッド自動車用MG |
インタビュアー:名古屋支社