わたしの日刊工業新聞 活用法(92)株式会社源邑光 北野刃物製作所 代表取締役社長・北野 朋宏 氏
求めている情報が探しやすい
源邑光北野刃物製作所は創業1906年の老舗刃物メーカー。建築現場などで、壁紙施工に使うヘラなど内装職人向けの作業道具一式を製造している。一点ものの製品も受け付けることから、多くの職人に支持され、毎年のようにヒット製品も生み出している。代表取締役社長の北野朋宏さんに日刊工業新聞の活用法を聞いた。
-業績が好調です。
「大阪ものづくり優良企業賞を受賞後、DIYの巣ごもり需要などもあり、順調に業績を伸ばしている。当社の製品は職人が用いる一点物。最近はSNSで発信する内装職人が増えており、当社の製品についての発信も多い。SNSの反響は大きく、これまで取引のなかった職人や専門の卸業者からの注文も増えている」
-積極的に実用新案を申請しています。
「持ち手から刃先まで一貫して製作しているため、内装職人の間で、少々特殊な注文にもこたえられる会社として認知されている。持ち手の部分を紫外線(UV)プリンターで印刷するなど、独自の製法を開発することで、ニーズに応えた結果は実用新案を申請し、目に見える形で残している」
-SNSの反響を参考にした製品も出しました。
「新製品の装天パテベラもその一つ。これまではパテベラを扱いにくいとされた持ち方でも作業しやすいのが特徴。当社に一点物として注文した職人が自身のSNSで実際に使用する動画を公開し、それを見た他の職人や卸業者の問い合わせが殺到し、製品化を決めた」
-現場作業も行う中、新聞を読む時間はありますか。
「毎日、目を通すようにしている。新聞に目を通す程度の余裕がなければ良い仕事はできない。記事には補助金の申請書などを書く際に参考になる情報や表現が多く、気になったものはメモをとり、切り抜きもしている。(記事下の)広告は、限られたスペースに必要最小限の情報がコンパクトに表現されており、求めている情報を探しやすい。実際に広告を見て、ステンレスを黒く染める会社に問い合わせたこともある」
―日刊工業新聞は役立っていますか。
「情報を得るだけでなく、新製品などを取材してもらうことで、第三者の視点から正確な情報が発信できている。広告や内装職人の発信するSNSほどの販売促進効果はないが、実用新案の申請と同様に正確な情報を後世に残せるところが気に入っている。記事に取り上げられるのは製品作りのはげみにもなっており、これからも取材をお願いしたい」
-ありがとうございました。
【略歴】1997年源邑光 北野刃物製作所に入社。2001年、代表取締役社長に就任。大阪府出身、52歳(23年1月現在)。
【企業ファイル】
名称 | 株式会社源邑光 北野刃物製作所 ミナモトノムラミツ キタノハモノセイサクショ |
代表者 | 北野 朋宏 |
所在地 | 大阪府東大阪市岸田堂西2-8-12 |
URL | https://www.kitanohamono.co.jp/ |
事業内容 | 壁紙などの施工に使うヘラなど内装職人向けの作業道具一式を製造 |
インタビュアー:西日本支社