わたしの日刊工業新聞 活用法(76)株式会社山田製作所 代表取締役社長・山田 雅之 氏
業界情報生かし顧客開拓
山田製作所はステンレス薄板などを用いた製缶・板金加工を手がける。徹底した3S(整理・整頓・清掃)活動が広く知られており、コロナ前は年間200社を超える工場見学を受け入れていた。ノウハウを反映した工程管理ボード「ワイデクル」も販売している。代表取締役社長の山田雅之さんに日刊工業新聞の魅力などを聞いた。
-コロナ禍で製造業の先行き不透明感が増しています。
「2020年度の売上高は前年度比3割ほど落ち込んだが、21年度はコロナ前の水準に戻せそうだ。半導体製造装置向け排ガス処理用容器などを受注している。また水土浄化システム向け土壌処理槽の新製法が、7月に経済産業省の『経営革新計画』の承認を受けた。セパレートタイプとし、運搬やメンテナンスを容易にした。インフラ関連事業として新たな柱に育てたい」
-3Sが行き届いており、気持ちいい現場ですね。
「例えば工具は定位置に、同じ方向で置いており、誰が使っているかもわかる。また工場を21エリアに区分し、3チームで計画的に清掃している。顧客にきれいな現場を見せると安心し、受注につながる。『守ることを決めて、決めたことを守る』のが大切だ」
-この現場でもワイデクルが活躍していますね。
「材料発注から加工、納期までの工程で、作業者一人一人の進捗を把握できる。自分がやるべきことはもとより、皆が何をしているのかも一目でわかる〝超アナログ管理"だ。作業効率が上がり、リードタイムを短縮できた。ワイデクルは今井広告研究所と共同開発したもので、業務や管理対象などに応じてセミオーダーで受注している」
-日刊工業新聞は事業に役立ちますか。
「新規顧客を開拓する際、関連業界・企業の情報が役に立つ。よりよい提案をするための参考にしている。また中小企業の記事には所在地と代表者名が載っているので、連絡をとりやすい。興味深い新製品や新技術があったら、資料を取り寄せたり、話を聞いたりしている。記事だけではなく、広告も参考になる」
-日刊工業新聞のどこに魅力を感じていますか。
「やはり新製品や新技術の記事が充実していることだ。市場では何が課題で、企業がどう解決しようとしているのかがわかる。また政治経済などの情報はインターネットにあふれているが、経営者らの生の声などはあまり取り上げられていない。地域に根ざしたモノづくり中小企業のリアルな情報を収集できるのも魅力だ」
-本日はありがとうございました。
【略歴】1985年大阪工業技術専門学校機械科卒。機械メーカーを経て97年に山田製作所入社、19年に社長。大阪府出身、57歳(21年10月現在)。
【企業ファイル】
名称 | 株式会社山田製作所 |
代表者 | 山田 雅之 |
所在地 | 大阪府大東市新田中町2-41 |
事業内容 | 製缶・板金加工による産業用機械の部品、フレーム、カバーなどの製作 |
インタビュアー:大阪支社