わたしの日刊工業新聞 活用法(72)株式会社トライエンジニアリング 代表取締役社長・松尾 信治 氏
役立つ記事 記憶に残る
トライエンジニアリングは熱交換器のエキスパート集団だ。熱交換器は流体(液体・気体)を温めたり、冷やしたりする機器で、さまざまな設備・システムに搭載されている。製造工程で発生する熱エネルギーを有効活用することにより、燃料費削減や二酸化炭素(CO2)排出抑制を図れる。創業者で代表取締役社長の松尾信治さんに日刊工業新聞の活用法などを聞いた。
-「100%自社設計のワンストップ対応により、低価格と高品質を両立させる」がモットーですね。
高い技術力も求められます。
「熱交換器は用途によって構造や形状、サイズなどが全く異なる。経験豊富なスタッフが集まって1989年に設立し、この約30年間、さまざまなニーズに応えてノウハウを積み上げてきた。これを生かし、製造工程全体のヒートロスを分析した上で最適な熱交換器・システムを設計している。もちろん技術力も磨いている。例えば厚さ0.3㍉㍍の薄板をアルゴン溶接できる」
-事業の柱は製造業向けですか。
「売上高比率は製造業向けが7-8割を占めている。コロナ禍が響いて先送りになった計画もあったが、20年度の売上高は前年度比微増を確保した。製造業向けのほか、近年は火葬場向けが伸びている。排煙の温度は900度C以上にもなる。集塵フィルターが耐えられないため、熱交換器で200度C以下に冷やす。国内はもとより、シンガポール向け30基を受注した。このほか木質バイオマス燃料の製造所向け、大学の研究室向けなどを納めた実績がある」
―日刊工業新聞は事業に役立っていますか。
「難削材や特殊形状の切削に関する記事が役立っている。開発の幅が広がり、より現場に適した機器を提案できるようになる。問い合わせて仕事につながったこともある。レーザー溶接技術に関する記事もチェックしている。アルゴン溶接の工程をレーザー溶接に置き換えて効率化できれば、人材育成に余裕ができるし、新事業にも取り組みやすくなる。個人的には新技術に興味があるので、モノづくり面で連載している『For Future先端技術』を楽しみにしている」
-新聞ならではの良さをどこに感じていますか。
「紙面のほうがインターネットよりも読み込む気になるし、記憶にも残る。日刊工業新聞は業界・分野ごとに紙面構成しているので、ほしい情報を収集しやすい。記事はもとより、広告も業界の関連企業なので、各社がどのような強みを発信しているかを把握できるのが魅力になっている」
―本日はありがとうございました。
【略歴】1974年大阪工業技術専門学校卒。設計会社、熱交換器メーカーを経て89年にトライエンジニアリングを設立。大阪府出身、66歳(21年4月現在)。
【企業ファイル】
名称 | 株式会社トライエンジニアリング |
代表者 | 松尾 信治 |
所在地 | 大阪府茨木市郡4-1-4(茨木本部) |
URL | https://tryeng.jimdosite.com/ |
事業内容 | 熱交換器・周辺エネルギーシステムの設計・製造・開発 |
インタビュアー:大阪支社