わたしの日刊工業新聞 活用法(64)株式会社三松 代表取締役社長・田名部 徹朗 氏
中小に寄り添った情報源
三松が手がける生産品は月10万点を超える。しかも、このうち7割は一品モノだ。取引先は半導体製造装置や医療機器、ロボットから農業機械までのメーカー800社以上に上る。こうした小ロット製造代行サービスで培ったノウハウを生かし、システム構築・運用を支援するシステムインテグレーター(SIer)の実績も積み上げている。代表取締役社長の田名部徹朗さんに、日刊工業新聞がビジネスに役立っているのかを聞いた。
―生産品が月10万点もあると、充実した設備、高度な管理が求められますね。
「設計から加工、溶接、塗装、組み立て、検査までの一貫生産ラインを整えている。今春、新型のファイバーレーザー加工機を導入し、難削材に対応できるようにした。一点一点を職人の腕で高品質に仕上げている。また生産管理は『三松統合生産管理システム』により、いつ、どこで、誰が、どう作ったかを見える化している」
―コロナ禍により、多くのモノづくり企業が打撃を受けています。三松への影響も大きいでしょうね。
「もちろん影響はあるが、取引している業界・製品のすそ野が広いため、受注は堅調に推移している。足元では医療分野や食品分野で用いる滅菌装置向け部品などの受注が伸びている」
―生産現場では非接触の自動化ニーズが強まっているだけに、SIerの需要も見込めますね。
「検査・計測用の『撮像ロボット』に力を入れている。画像データを収集し、人工知能(AI)で解析する。自動車や半導体などの現場で活用できる。多種多様なモノづくりを経験しているので、ユーザーの立場でシステムを提案できる」
―日刊工業新聞はビジネスに役立っていますか。
「事業に関連するロボット面や機械面をはじめ、地場産業の情報が載っている西日本面をよく読む。新工場や新規事業、新製品の情報のほか、他紙が取り上げないような中小企業も取材しているので情報源として有効だ。企業・業界動向などを掘り下げる『深層断面』も興味深い。タイムリーなテーマで特集を組んでいる」
―新型コロナウイルス関連情報は参考になりますか。
「リモートや無人化に関する記事が参考になる。産業界や企業の動きをよく追っている。政府や自治体の支援策一覧もあり、中小企業に寄り添った紙面に好感を持っている」
―本日はありがとうございました。
【略歴】1987年早大政経卒、同年三菱重工業入社。米シティバンク東京支店などを経て、96年三松入社。01年常務、10年社長。福岡県出身、56歳(20年9月現在)。
【企業ファイル】
名称 |
株式会社三松 |
代表者 |
田名部 徹朗 |
所在地 |
福岡県筑紫野市岡田3丁目10番9号 |
URL |
https://www.sanmatsu.com/ |
事業内容 |
設計・開発から加工・塗装・アッセンブリまでカバーする製造代行サービス |
インタビュアー:西部支社