読者インタビュー

2019.03.01

わたしの日刊工業新聞 活用法(46)石川職業能力開発短期大学校 校長・須田 浩之 氏


「産業情報 バランス良く収集」

 石川職業能力開発短期大学校(ポリテクカレッジ石川)は、2019年度に30期目の卒業生を送り出す。この間、生産現場の即戦力となる実践技能者(テクニシャン・エンジニア)を1800人以上輩出し、地元産業界に貢献してきた。須田浩之校長に人材育成や学校教育での日刊工業新聞の活用法を聞いた。

  ―ポリテクカレッジ石川は2年制の短期大学校だけに、学生の皆さんは技能習得に向けて濃密な時間を過ごしていますね。

 「2年間で製造現場の即戦力を育てている。産業界から求められるのは基礎的な技能・技術が備わった人材。2年という期間は思いの外短く、1年次の1月には進路の方向性を決定する。この限られた期間で、実技・実践の時間を、大学よりも多く確保している。学生は自己研さんし、各種競技会へも積極的に出場している」

 ―モノづくりの高等教育機関は、地元産業界にとって貴重です。

 「石川県の能登地区には多くの工場が立地している。モノづくり人材の育成という役割を担っているとともに、地元企業からの技術相談も受けており、これまでに搬送装置や食品機械などを試作した実績がある。こうした取り組みによって教員の引き出しも増えるので、企業との連携をさらに進めたい。また地元のイベントにも協力している。これも地域貢献の一環として続ける」

 ―教育の現場で、先生方は日刊工業新聞をどう活用されていますか。

 「ベンチャー企業や中小企業の取り組みが、卒業課題である『総合制作』を検討する上でとても参考になっている。また産業界の情報をバランス良く収集できるため、学生の進路指導などに役立てている。

全国にはまだ知られていない優良企業がたくさんある。引き続き、中小企業の報道に力を入れてほしい。私自身は赴任経験のある地域の中小企業の記事も目にとまる」

2年間で実践技能者に育てる

  ―一方、学生はどのように新聞を活用するべきでしょうか。

 「自分が何について知りたいかを意識して新聞を開いてほしい。例えば石川県の製造業について知りたいのであれば、機械関連や電機関連の企業の動向を意識することが求められる。現在、日本の産業界や県内企業が何を考えているかを追いかけて、自分の将来像を想像する力を養ってほしい。自分の意志を固めることにもつながる」

  ―これからもモノづくり人材の育成に資する紙面にします。本日はありがとうございました。

 


 

【略歴】  須田 浩之(すだ・ひろゆき) 1983年雇用促進事業団(現高齢・障害・求職者雇用支援機構)入団。12年いわき職業能力開発促進センター所長、15年君津訓練センター長、17年石川職業能力開発短期大学校長。群馬県出身、59歳(2019年2月時点)。

 【企業ファイル】

名称

石川職業能力開発短期大学校(ポリテクカレッジ石川)

代表者

須田 浩之氏

所在地

石川県鳳珠郡穴水町由比ケ丘いの45-1

URL

http://www3.jeed.or.jp/ishikawa/college/index.html

事業内容

高校卒業者らを対象に、基礎から専門分野まで の技能・技術を教育

インタビュアー:金沢支局

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