読者インタビュー

2016.03.29

わたしの日刊工業新聞 活用法(5) 協立製作所社長・高橋日出男さん

「まずは営業が記事をピックアップ」

 協立製作所は、建設機械などに使用される油圧機器部品を切削から熱処理、研磨まで一貫生産する。油の流れを制御する油圧ショベル用のスプールでは、世界シェアの約3割を占める。「日刊工業新聞は、技術的なブレークスルーが必要になった時に開ける引き出し」と表現する高橋日出男さん(茨城産業人クラブ会長)に活用法を伺った。

―日刊工業新聞との出会いを聞かせてください。

 「東京都品川区から現在の茨城県筑西市に工場進出したら、情報収集が難しくなった。地方は一般紙しかなく、業界の景気動向がよくわからない。突然暇になったり、突然忙しくなったりで、生産活動ですごく苦労した。そこで頼りになったのが日刊工業新聞だ。有難かったのは支局の記者が積極的に取材にきてくれ、記事が新聞に載る。これが金融機関の信用力を高める一助になったように思う。バブル崩壊後、系列関係が希薄になったのを好機ととらえ、顧客開拓や設備投資を活発化し、新たな成長の基盤を築くことができた」

―今でもビジネスに役立てていますか。

 「営業担当者には必ず読ませている。営業担当者は、お客様の業界全体のことを把握しておく必要があるからだ。自分の業界だけの情報では視野が広がらないし、こちらが良質な情報を持っていないと、お客様と議論が出来ない。そこを日刊工業新聞や専門誌から得た情報で補っている」 

―営業担当者に読ませるためにどのような工夫をされていますか。

 「以前はわたしが関心を持った記事に印をつけ回覧していたが、それではどうしても営業担当者が受け身になってしまう。そこで順番を逆にした。まず営業担当者に読ませ、チェックを入れてもらった記事を、わたしが読むようにした。営業担当者は『お客様の会社』『建設機械業界』『油圧機械業界』などをキーワードに記事をピックアップする」

―インターネットとの使い分けはどうしています。

 「新しい工具や計測機器を購入する際、その前段階として日刊工業新聞のいろいろな情報を頭に入れておく必要がある。そして具体的な検討に入り、購入製品を絞り込む段階になったら、ネットを活用する。例えて言えば、日刊工業新聞を読むことは、情報の引き出しを増やすことになる。何か困りごとが起こったり、技術的なブレークスルーが必要になったりした時、引き出しを開ける」

―最後に、紙面づくりへの要望を聞かせてください。

 「少子化は深刻な問題だ。どう乗り切るか、大所高所から取り上げた記事をもっと掲載してほしい。このまま生産年齢人口が減少していくなかで、今より生産性を2割あげ、名目GDP(国内総生産)600兆円を達成するのは至難の業だ。日本は製造業があるから生きていける。日本の主力産業をどう守るのか、20年後、30年後の日本はいったい何で食べていくのか、真剣に考える時がきている」

―ありがとうございました。


【略歴】高橋日出男(たかはし・ひでお) 1972年(昭47)日本大学理工学部卒、同年東京都大田区の油圧機器メーカーに入社。74年協立製作所入社。93年社長に就任。茨城県出身、66歳(2016年3月現在)。

【企業ファイル】

企業名

株式会社協立製作所

代表者

高橋  日出男氏

所在地

東京都品川区東中延1-2-19

URL

http://www.kyoritsu-ss.co.jp/

事業内容

建設・産業・農業用油圧機器部品の製造

取材協力:茨城支局

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