読者インタビュー

2021.02.25

わたしの日刊工業新聞 活用法(69)電子磁気工業株式会社 代表取締役・児島 隆治 氏

児島 隆治 氏

知らない企業と出会える

 磁気を操る技術で世界に安全と安心を届ける会社-。これが電子磁気工業だ。主力の非破壊検査装置は自動車や鉄道車両などの製造・整備工場で活躍している。さまざまな磁性材料に強い磁力を与える着磁装置の豊富なラインアップも自慢の一つ。代表取締役の児島隆治さんに日刊工業新聞の活用法などを聞いた。

―非破壊検査装置は多くの現場で高く評価されていますね。

 「部品や構造体などの対象物を壊さずに表面の傷などを検査する装置で、オーダーメード開発している。例えば磁粉探傷検査装置は対象物を磁化させた後、表面に蛍光性の磁粉を散布し、ブラックライトを照射して傷を光らせる。この装置は業界シェアの約60%を獲得しており、ある鉄道会社の整備工場では当社製が99%を占めている。部品の破損は命の危険に直結するため、どんなに小さな傷も見逃せない。顧客の信頼に応えたい」

―電気自動車(EV)やロボットの台頭により、磁石の需要増が見込まれます。着磁・脱磁装置事業の伸びが期待できますね。

 「非破壊検査装置事業に次ぐ柱に育てたい。磁石はモーターやセンサーにとって不可欠で、利用のすそ野が広い。これらの製品を高性能化するため、高品質かつ強力な磁石が使われている。とうぜん、着磁の難易度も高くなる。このため、大学や公的機関と共同研究したり、有識者らとの勉強会に参加したりして技術を磨いている」

―一方、コロナ禍の悪影響が懸念されます。

 「海外事業は落ち込んだものの、国内事業への悪影響は限定的だった。現在、感染対策としてマスク着用や手指消毒はもとより、出社人数を従来の約3割に制限している。生産現場は2チームの交代制にして、互いに交わらないようにしているほか、間隔を空けて作業している」

着磁装置
磁性材料に磁力を与える着磁装置

―日刊工業新聞はビジネスに役立っていますか。

 「生き残るためには情報収集が欠かせない。業界動向などを把握するため、自動車面と素材面は必ず読んでいる。総合面で火曜日に連載している『倒産学』は興味深く、経営の参考になる。また当社の製品や事業紹介などの記事が掲載された際、多くの問い合わせがあってうれしかった」

―日刊工業新聞のどこに魅力を感じていますか。

 「接点がない業界や企業の記事に発見や気づきがある。これは日刊工業新聞ならではの出会いだと思っている。こうした情報を事業展開につなげたい。これからもモノづくりを通じ、皆が安心して快適に過ごせる社会づくりに貢献したい」

―本日はありがとうございました。


【略歴】1971年名城大卒、同年電子磁気工業入社。12年代表取締役。愛知県出身、71歳(21年2月現在)。

【企業ファイル】

名称電子磁気工業株式会社
代表者児島 隆治
所在地東京都北区浮間5-6-20
URLhttps://www.emic-jp.com/
事業内容非破壊検査装置、着磁・脱磁装置、磁気計測装置などの製造・販売

インタビュアー:販売局

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