わたしの日刊工業新聞 活用法(62)株式会社小森精機 代表取締役社長・服部 直樹 氏
経営者の〝生の声〟楽しみ
小森精機は精密機械部品、工業用刃物、治工具・ゲージなどを手がける。マイクロメートル単位(マイクロは100万分の1)の高精度が求められる難しいモノづくりの実績を積み上げ、顧客の信頼を得てきた。3代目となる代表取締役社長の服部直樹さんは〝世界に通じる技術と信用〟を掲げて成長戦略を描いている。日刊工業新聞の活用法などを聞いた。
―約1年前に社長就任し、これからという時に新型コロナウイルスが蔓延しました。経営環境が激変しているだけに、難しいかじ取りを迫られますね。
「モノづくり企業は新型コロナの影響を避けられない。当社も少なからず受けている。だが、厳しい時期だからこそ、我々が技術開発型頭脳集団であることを再確認している。何ができ、どう成長し、どう社会貢献を果たすのかを見極めながらかじ取りをしたい」
―今、やろうとしていることはありますか。
「職種や技能に応じた現在の社内評価体系を発展させ、円滑な技術伝承につなげたい。主力の工業用刃物や治工具、産業機械向け試作部品は特注の一品モノが多い。顧客の多種多様な要望に応えるためには、既成概念や常識にとらわれることのない自由な発想と、これをカタチにする技術力を磨き続けなくてはならない。技術者の一人一人が、力の源泉だ。皆が誇りを持ち、挑戦できる環境を整えたい」
―日刊工業新聞を長くご愛読いただいていますね。
「法務事務所に勤めた後、13年に入社した。そのころから読んでいるので、もう7年にもなる。日刊工業新聞は機械面や自動車面など業界・分野ごとに紙面構成している。畑違いの仕事をしていたこともあり、産業界を網羅して情報収集できたのがありがたかった」
―記事は事業に役立っていますか。
「かつては売り上げの大半が一つの業種に占められていたため、父である現会長が少量多品種・高精度・高難易度品の受注生産にシフトした。今後はどの業界・分野に力を注ぐのかという判断が極めて重要だ。経営の多角化に挑んでいる企業の事例がとても参考になる」
―楽しみにしている連載はありますか。
「火曜日に連載されている『倒産学』が興味深い。失敗の要因を知ることは、自分の経営を振り返るきっかけになる。また各面に掲載されているコラムが好き。大企業の経営者のインタビューは他紙や雑誌、インターネットでも読めるが、中堅・中小企業の経営者の生の声をこれほど多く載せているのは、日刊工業新聞ぐらいだ」
―本日はありがとうございました。
【略歴】名古屋大学法学部卒。13年小森精機入社、16年取締役、19年代表取締役社長。岐阜県出身、41歳(20年7月現在)。
【企業ファイル】
名称 |
株式会社小森精機 |
代表者 |
服部 直樹 |
所在地 |
岐阜県各務原市上戸町7-1-11 |
URL |
http://www.komoriseiki.com/ |
事業内容 |
精密機械部品、工業用刃物、治工具・ゲージなどの製造販売 |
インタビュアー:名古屋支社