読者インタビュー

2019.06.28

わたしの日刊工業新聞 活用法(49)KTX株式会社 代表取締役社長・野田 太一 氏


野田 太一社長

連載に人の温もり感じる 

 KTXは独自のポーラス電鋳金型(多孔体精密金型)で知られる会社だ。経済産業省の「グローバルニッチトップ企業100選」にも選ばれている。創業から54年、2代目社長の野田太一さんは、陸上自衛隊・第71戦車連隊の小隊長、奈良県立医科大学の形成外科研究者と、異色の経歴を持つ。野田さんに日刊工業新聞の魅力を聞いた。

  ―ポーラス電鋳金型は、自動車のインストルメントパネル(インパネ)などの成形で、世界の主要メーカーに採用されていますね。

 「インパネの多孔体精密金型の分野では世界シェア5割を占めている。この技術は、父で会長の野田泰義が確立した。金型に直径100㍃―300㍃㍍(マイクロは100万分の1)の通気孔を開けるのが特徴。金型で樹脂シートをサンドイッチし、通気孔から空気を抜いて真空成形する。革絞り模様やステッチ(縫製糸目)などの微細な凹凸を忠実に再現し、質感のある部材に仕上がる。低コスト・省エネルギーであることも評価されている」

 ―厚さ1㍉㍍の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)も成形できる金型技術「MPM」を確立しています。

 「電気鋳造金型を急加熱・急冷却し、難流動性材料を薄肉成形する。射出成形機を導入し、金型製作から成形までの一貫生産体制を整えた。CFRTPは航空機や医療機器などの成長産業で採用が広がる見込みで、今後の受注の伸びに期待している」

 ―それにしても畑違いの転職でしたね。 

 「自分の力で人生を切り開きたいとの思いから、モノづくりとは縁遠い世界で生きてきた。だが父に『帰ってこい』と請われ、2007年に戻った。非常勤の産業医に就いたが、いずれは後を継ぐ。モノづくりとはどういうことかを知るため、この頃から日刊工業新聞を真剣に読み始めた。記事だけではなく、広告も参考になった」 

 ―15年に社長に就きました。経営者として日刊工業新聞のどこに魅力を感じていますか。

ポーラス電鋳金型

独自の「ポーラス電鋳金型」

 「人となりがにじみ出ている記事が好きで、よく読んでいる。経営者の『わが友わが母校』や『週末は別人』、『新社長登場』、地方自治体幹部らの『横顔』といった連載が魅力だ。新聞に載っていた経営者には親近感が湧くし、商談も弾む。もちろん企業戦略や統計などのニュースも読むが、時に無機質に感じることがある。一方、これらの連載には経営者の知られざる一面や失敗談などがあり、人の温もりを感じる。また〝一般紙とは趣の異なるマニアックさ〟を評価している。これからも愛読する」

 ―本日はありがとうございました。

 

 


 

【略歴】  野田 太一(のだ・たいち) 1995年陸上自衛隊幹部候補生学校卒。98年奈良県立医科大学入学、2010年同大学大学院医学研究科修了。12年江南特殊産業(現KTX)入社。15年代表取締役社長。愛知県出身。51歳(2019年6月時点)

 【企業ファイル】

名称

KTX株式会社

代表者

野田 太一

所在地

愛知県江南市安良町地蔵51

URL

https://www.ktx.co.jp

事業内容

自動車や航空機の内装部品向け 金型製作など

インタビュアー:名古屋支社

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