読者インタビュー

2019.02.01

わたしの日刊工業新聞 活用法(45)堀江車輌電装株式会社 代表取締役・堀江 泰 氏


「新聞は発想生む “アンテナ”」

 鉄道車両の整備・改造・点検が主力の堀江車輌電装。社名の通り、電装系で取引先の信頼を積み上げてきた。2012年に代表取締役に就任した堀江泰さんは、車両事業の増強はもとより、障がい者雇用支援サービスにも乗り出している。日刊工業新聞をどう活用しているのかを聞いた。

  ―車両の誕生から解体までのワンストップ体制の構築を掲げていますね。

 「通常、車両整備業界は電装や鉄工、内装などの専業が個別に受注している。だが、弊社は協力会社と組んで一括受注している。専業は販路を広げられるし、電鉄会社も個別発注する煩わしさがなくなり、ウィンウィンの関係になれる。法令順守を含めた責任の所在も明確になる」

 ―なぜ障がい者雇用支援サービス「トライアングル」に乗り出したのですか。

 「ボランティアで知的障がい者サッカー日本代表チームを支援していた。就労意欲があるのに受け皿がないといった悩みを知り、14年に障がい者支援事業部を立ち上げた。15年にビルメンテナンス事業を買収して雇用の場をつくり、現在は5名が働いている。ちなみに、このうちの一人は日本代表として『もうひとつのW杯2018スウェーデン大会』で戦った。またトライアングルでは人材紹介から採用までを支援している。職場体験実習のアレンジや、雇用後に定着させるためのコンサルティングなども提供している」

 ―産業界にとって障がい者の雇用促進は喫緊の課題だけに、価値がある事業ですね。

 「経営者がまず考えるのは『障がい者を雇用すると負担が大きく、即戦力にもなり得ない』ということ。しかし、弊社では障がい者が一人で現場に行き、仕事をこなす。売り上げを伸ばす戦力だ。障がい者が活躍している姿を示していくことで、理解を得られるようになると思っている」

西武鉄道・武蔵丘車両検修場内の日高作業場(埼玉県日高市)

  ―日刊工業新聞はビジネスの役に立っていますか。

 「異業種の情報を得るため、1面から最終面までチェックしている。人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)、人材不足といった産業界の動向を把握するのに役立つ。また障がい者支援事業部を通じて車いすスポーツの普及活動を展開しており、競技用車いすの共同開発などを考えているため、東京都大田区の『下町ボブスレーネットワークプロジェクト』のような中小企業の連携を取り上げた記事も参考になる。新たな発想を生むには、新聞を読んだり、人と会ったりするなど、常にアンテナを張るべきだ」

  ―本日はありがとうございました。


 

【略歴】  堀江 泰(ほりえ・やすし) 1998年聖望学園高卒。2000年堀江車輌電装入社、07年常務取締役、12年代表取締役。埼玉県出身、39歳(19年2月現在)。

 【企業ファイル】

名称

堀江車輌電装株式会社

代表者

堀江 泰氏

所在地

東京都千代田区九段北1‐3‐2 大橋ビル5階

URL

http://horie-sharyo.co.jp/

事業内容

鉄道車両の整備・改造・点検、 特定労働者派遣事業、有料職業紹介事業、 ビルメンテナンス事業

インタビュアー:本社販売局

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