読者インタビュー

2018.06.20

わたしの日刊工業新聞 活用法(38)浅井鋳造所 代表取締役・浅井 敬司氏

「情報蓄積 新分野を開拓」

  不可能を可能にする技術︱。浅井鋳造所は職人技とITの融合により、さまざまな試作開発向け鋳造部品の受注を伸ばしている。ただ国内の鋳造業界は海外企業との受注競争などにより、厳しい事業環境に置かれているのが実情。こうした中、日刊工業新聞をどう活用しているのか、代表取締役の浅井敬司さんに聞いた。

  ―日刊工業新聞はビジネスに役立っていますか。

 「3次元積層造形装置で鋳造用砂型を作り、複雑形状の鋳造部品を短納期で仕上げる事業を始めたことが取り上げられ、この記事が近隣のポンプメーカーの開発担当者の目に留まって新規受注にこぎ着けた。もう8年前のことだが、忘れられない思い出だ。当時の仕事は産業機械向け大量生産品が大半を占めていたが、試作開発品の受注に弾みがついた」

 ―今では年間150件を超える試作開発品・補給部品を手がけていますね。

 「受注のすそ野が広がり、売り上げの構成も変わった。それだけではなく、働き方も改善されて、会社そのものが大きく変わった。以前は残業が多くなりがちで、従業員が疲弊することもあった。受注の変化を受けて『頑張りかたを変える』ことで、残業時間の削減につながっている」

 ―鋳造業界を取り巻く事業環境は厳しさを増していますね。

 「それだけに同業他社の動向を注意深く読んでいる。例えば当社よりも規模が大きい同業大手が自動車関連の仕事に力を入れるという記事が載っていた場合、当社はそれ以外の分野の試作開発を狙う。こうした判断の材料として日刊工業新聞を活用している」

  ―成長軌道を描くには、さらに新分野を開拓することも求められますね。

 「同業だけではなく、産業界の動きを把握することが重要だ。日刊工業新聞は先代の頃から購読しているが、真剣に読み始めたのは試作開発品事業に乗り出した8年前から。この間、気になる記事をスクラップし、情報を蓄積してきた。これが新分野の開拓につながっていると手応えを感じている。最近は医療分野やロボット分野からの引き合いが増えている」

  ―これからもビジネスに役立つ情報を発信します。ありがとうございました。


 

【略歴】  浅井敬司(あさい・けいじ) 1996年名古屋大学工学部卒、同年浅井鋳造所入社。06年工場長、10年代表取締役。愛知県出身、45歳(18年6月現在)。

 【企業ファイル】

名称

株式会社浅井鋳造所

代表者

浅井敬司氏

所在地

愛知県一宮市千秋町小山字東仲田12

URL

http://www.asaichuzo.com

事業内容

鋳造部品の製造・販売

インタビュアー:名古屋支社販売部

 

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